ピッピッピ。


が生きているという事を告げる電子音が絶え間なくなり続ける。体にはよくわからない沢山の管を体につけられて、死んだように眠るの手にそっと触れる。はそれにピクンと反応し、俺の手を弱弱しくその細い指でなぞった。ゆっくりと目を開けて俺を見てやんわりと微笑んだに応えるように俺も笑っての手をギュッと握り締めた。


「」


真っ白な部屋に俺の声が虚しく響いた。哀しいのに、涙は出てこなかった。何故哀しいのかは判っている。そっとの頬に、触れた。恐ろしいほど冷たい頬には涙が伝った後があった。。なんで、あの時…笑っていたんだ?お前は判っていたはずだ。なのに、なんで?ポタリとの頬に水が落ちた。恐る恐る自分の頬に触れると俺の頬は濡れていた。ボロボロと涙は止まる事を知らないかのように流れていく。


「、、、、、……、」


何度も何度もの名を呼んだ。でも、真っ白な部屋に響くだけ。コレは知らないふりをしていた俺への、罰なんだ。嗚呼、時計の針を戻す魔法があれば、この無力な両手を切り落とすのに。。何度でも、呼ぶよ。だから、だから、目を覚ましてくれ。


『小平太っていい名前だね。小平太にピッタリ』

「…、」


昔、が言った言葉が、ふと甦った。。俺もあの時お前に言えばよかった。お前の名前はとても綺麗だって。今頃気付いたんだ、お前の名前がとても美しいという事に。


ピー。


永遠となり続ける死を告げる電子音と俺の嗚咽が真っ白な部屋に響き渡った。
…俺は、お前が好きだよ。ずっと、ずっと。





美しい名前