こんな夢を見た。 スクアーロ、まだ生きてる?と訊ねれば、か細い声ながらもああと言い返してきたので、まだ生きているのだと分かった。 目の前で床に伏せている最愛の人をベッドに腰を下ろしてぼんやり眺めながら、一体彼はいつ死ぬのだろうと考えた。ナイフは刃渡りもあったし、刺すときも結構深く刺したから死なないということはないけれど、それにしても人間って意外にしぶといものだなと思った。 別に憎くてスクアーロを刺したわけではない。ただ、彼があまりにも弱くなりすぎてしまったのが痛々しかったのだ。彼は強かった。ボスには敵わないけれど、誰も寄せ付けないほどに強かったのだ。そんな彼があたしが一緒にいることで弱く脆くなっていくのが見ていられなくて、もういっそ殺してあげた方がいいんじゃないかと考えた末の出来事だったのだ。事実、あたしが彼を刺したのは背後からで、昔の彼ならたとえあたしでも背後を取られるなんて、そんなことはされなかった。 あたしはベッドから立ち上がるとスクアーロの頭下まで近づいて、しゃがんだ。ヒューヒューと気管が空気が漏れる音が聞こえて、そろそろ彼に死期が近づいているのがわかった。そしたらさながらあたしは死神か。スクアーロは目を瞑っていたので、意識があるかないか分からなかったけど、あたしはスクアーロの頬っぺたにキスをした。これが最後のキスになる。 「スクアーロは弱くなったよ。そんなスクアーロは、いらないんだ」 そしてあたしは赤い部屋のなかで目を瞑った |