こんな夢を見た。




「っ!……、……!!」
「ベ、ル?」



目を覚ますと、ベルがベッドで寝ているあたしに跨り、肩を掴み、がしがしと揺すっていた。重い。うっすらと目を開けたら、光に照らされてキラキラと輝いている黄金の髪が視界いっぱいに広がり、目がちかちかとした。あたしは眩しくなってまた目を閉じると、今度は頬っぺたをぺしぺしと叩いてきたので、あたしはベルの手を掴みそれを防いだ(じゃないと彼はぺしぺしというレベルじゃなくなってくる)。




「ベル、痛い」
「だってお前起きねぇんだもん。しっかし目覚めわっりぃなぁ、低血圧過ぎ。ていうかなんでオレがを起こさなきゃなんねぇわけ?オレ王子なのに」
「それはボスにいって」
「それにさお前、まだスクアーロのこと忘れらんねぇの?何回も呼んでたぜ、スクアーロって」
「…そう」
「なんだよ、少しは動揺ぐらいしろって。つまんねぇーの」
「用は済んだんでしょ?起き上がりたいから退いて」


あたしがそう言って、手を横に払うとベルは華麗にあたしの手を避けて飛び退いた。


「うっわ、こっえーの」
「うるさい。しね」
「うっしっし、言うねー。ここにボスがいなかったらそのキレイな顔を屈辱に歪ませてやったのに」
「変態。鬼畜。サディスト。いいから早く出ていけ」
「言われなくても。あ、そうそうその悪口、全部お前の恋人にも当てはまるって知ってた?」




ドアから顔を出していた同胞に2・3発銃を打ち込んでやると、そのキレイな金髪が赤く染まる前にドアをバタンと閉めてやっと出ていった。




あたしは起き上がると、クローゼットから当たり障りのない白いワンピースを取り出して、それに着替えた。ボスがあたしを起こさせに来たということはなにか用事があるってことだ。はやく会いにいかなければならない。するとまたさっきの仲間に対する苛立ちがふつふつと煮え立ってきて、次に会ったらボディブローを入れてやろうと心に決めた。







夢の内容なんて覚えてない。アイツが出てきたかなんて、知らない。早くあたしの中から出ていけばいいのに(そんなこと無理だって分かってるくせに)。


「知ってたよ、そんぐらい」



そして白い扉の向こうへ...