こんな夢を見た。 「ねえねえスクアーロ」 「なんだぁ、って傷口突っつくな゛ぁ!痛ぇだろうがぁ、!」 「スクアーロさ、俺の剣士の誇りを汚すなってかっこいいこと言ってたくせに、生きちゃっててさ、恥ずかしくない?」 「、う゛お゛ぉぉい、それはどういうことだぁ?」 「べっつにー?かっこ悪くておかしかっただけー!」 あははって笑ってスクアーロの傷口をなぞると、スクアーロは本気で切れたようであたしの手首を捻るように捕まえた。合気道も空手も何もしていない中距離戦専門のあたしにとってこれはさすがに結構痛い。 「いや痛い痛い痛い、スクアーロまじギブギブって!」 「よくもやってくれたなぁ。それに俺のどこがかっこ悪いってぇ?」 「あー、結局敵チームの旧友に助けられてるところとか?」 「それはあいつらが勝手に助けただけだぁ!しかもあいつは旧友じゃねぇ!」 そういうと今度はあたしの手首を捻らずに捕まえて、自分の方へと引っ張った。つん、と化学薬品の匂いがしたかと思うと、それはすぐにスクアーロの匂いに紛れてしまった。海の塩の匂いでもなく、鮫の匂いでもなく、生きているスクアーロの匂い。お前は勝手に助けただとか言っているけど、でもね、スクアーロ。あたしスクアーロがたとえ敵のチームたちに情けで助けられたのだとしても、今生きていることにとても感謝しているんだよ。お前にも敵であるはずの旧友らしい跳ね馬のディーノにも。お前が鮫に食われたと思ったとき、あたしがどれだけ絶望のど真ん中へ突き落とされて吹っ飛ばされたかお前はこれっぽっちも知らないんだろう?こっそりとザンザスに気づかれないように重症のスクアーロを運ぶのは大変だったんだぞと嫌味を言いながら笑いながら、跳ね馬があたしにお前が生きていると教えてくれたとき、あたしがどれだけ驚いたか、嬉しかったか、スクアーロ。お前は知らないんだろう?そのくせ目覚めて第一声が「なんでお前まで死んでんだぁ?ばかー」って、目ぇ散々赤く腫れ上がらせた恋人に言う台詞じゃないだろ、スクアーロ。もういっぺん三途の川拝んでみるかって一瞬頭を過ぎったことは一生忘れないよ、きっと。それぐらいにお前はあたしの中で重要なものとなっていたんだよ。 スクアーロが優しく頭を撫でてくれたので、あたしはスクアーロの上になだれ込むような形のまま、目を、閉じた。 そして、暗転 |