壊れていく壊れていく。私が、

世界が?






「議会を始めるぞ。みんなも分かっていると思うが、これからの環境問題、主に温暖化についてなんだが、」


ドイツがそう言って始めた世界会議だけど、まともに聞いてるのはほんの僅かな国々で、その他の国はやりたい放題やっちゃっている。アメリカは突拍子な現実味の無い計画の話をしてるし、イギリスとフランスは喧嘩してるし、イタリアはお菓子を食べたいと駄々を捏ねてるし、ロシアはラトビアを怯えさせるし、スペインは内職してるし、韓国は起源を主張してるし、中国はなんか勝手に商売始めてるし。会議をする気があるんだか分からない状況だ。





「お前らいい加減にしないか!」


ドイツの怒りの臨界点を突破したらしく一頻り怒鳴った後、ため息を吐いて私のほうへと視線を移した。


、お前の意見を聞かせてくれないか?」
「私、ですか?」
「ああ、お前のことについてだしな。お前がどう思っているのかを聞きたい」



今まで騒いでた国が一斉に私のほうを向く。さっきの騒ぎが嘘だったかのように静まり返る。








私は、







「私は………どうでもいいんですよ。みなさん今まで散々私の上を暴れまわって蹂躙してぐちゃぐちゃに、」
……、その言い方は」
「卑猥だ」
「ドイツ、イギリス、すみません。まあ、つまりみなさん好き勝手暴れまわっているのに、今更自分の身に危険が及ぶから保護だなんて、おかしな話ですよね。それにもう手遅れなところまできてしまってるし」
、」
「別に私はこの先どうなってもいいんですよ。私は誰が私の主導権を取ろうが構わないんです。私はそれをただ眺めるだけ。ずっと遠い昔からそうしていたように」


「人類の次はいったい誰が私を従えるのでしょうね」



私がそう笑うと、みなさんが苦虫を潰したような顔をした。あら、なんでそんな顔をするんですか?だってそうでしょう。線を引き、旗を掲げ、奪い合い、血を流し、死んでいく愚かな人類。いったい彼らは何を奪い合って、何に死んでいくのだろう?私には分からない。彼らが私のことを解らないように。




タルト






私のことなんかこれっぽっちも知りやしないくせに。





090125 riyu kousaka