「キレイな翡翠・・・」 はそういって日に翳していたその飴を口に含んだ。口先にチラリと見えた、欲情を誘うような赤い舌が今は優雅に飴を甘美しているのだろう。彼女はうっとりとした顔をして目を閉じた。 「あたし、隼人の目を食べたいわ。」 ぽつりと言った言葉はカニバリズムを思わせるような言葉だったが、の横で寝転がっている隼人と呼ばれた男は何も言わずに銜えていたタバコの煙を吐き出した。 「食べたいと言ったけど、別に隼人を食べたいというカニバリズムみたいな野暮なことじゃないのよ。それならあたしはむしろ食べられたいわ。あたしは隼人の目を飲み込んで隼人の視覚を共有したいの。隼人が見る全てのものを知りたい、見たいのよ。運命共同体になりたいの。」 でもきっと隼人の目はこの飴みたいに甘いんだろうね、とは穏やかに笑いながら隼人のほうに振り返った。 隼人はしばらくのほうを眺めていたかと思えば、、と呼んで急に腕を引っ張った。 「隼人?」 「、」 は隼人に倒れこみ、隼人はの背と頭に手を回し、大事に抱きしめた。 「俺の目は甘いかどうか知らねぇが、お前は十分すぎるほど甘ぇよ。」 彼女は少し驚いたように目を見開いて、ゆっくりと微笑んだ。 そして女と男は微睡みに沈んでいく。 |